マシエリが外に出ると、テラス端の柵の上ジーンズの若い女が立っていた。


 背が高く、彩柄ヨットパーカーのフードをかぶり
両手をポケットに入れている。


 パーカーからやや覗く顔は鼻筋が通り、マネキンのように整っている。


「ふ~ん、ドールとボッツの組み合わせか。珍しいな



 女が言うと、



「わりーか、アマ!



とボーグが手足をバタつかせた。



生意気なボッツだ。反抗的だと長生きせんぞ。といったところで、我がテリトリーに入った以上、もう終わりだがな」



「なんやと~。このボーグ様はおめえなんぞにゃ、負けやしね~ぜ~」



「貴様らにひとつ質問だ。
“ハルフレーム”を知っているか? 答え次第では生き延びるチャンスがあるぞ」


「ハルフレームゥ? なんじゃそりゃあ。話聞きて~なら、そっちが先に話すのがスジやろが~」



もう一度問う。ハルフレームを知っているか? そっちのお嬢ちゃん、どうだ?」



「……知らないわ」



「そうか。残念だったな」



 女は柵の上で両足を閉じ、両腕をバッと左右に伸ばすと十字のポーズになった。



「なんやと~、えらそーにコノヤロー



 ボーグが手足をバタつかせる。



 マシエリは背中の鞘から黒い傘をスルリに抜くと、サーベルのように構えた。

                (TO BE CONTINUED)