9階の階段付近でマシエリが「この階?」と聞く。
「いねー。次!」
ボーグが吐き捨て、マシエリたちは階段を降りる。
8階の階段付近でマシエリがふたたび「この階は?」と聞く。
「いねー。次ィ~!」
ボーグが吐き捨て、マシエリたちはまた階段を降りる。
7階の階段付近でマシエリが三度「この階は~?」と聞く。
「いねー。次次ィ~!」
ボーグがまた同じように吐き捨てる。
「ねえ、ボーグゥ、ふざけてなぁい? ほんとにこのビルにいるのお?」
マシエリがジーッと疑いの目を向ける。
端正な顔がちょいブサになっている。
「んな顔すんなっつ~の。知らね~よ。“広範囲感知”したのは、おめえの時計のほうやろが~」
「まったくう、無責任なんだからあ~」
マシエリがため息をつくと、
「おめえ、おいらの話、まったく聞いてへんやろ?」
とボーグが額に青スジを浮かべる。
マシエリが階段を6階に降りようとすると、
「ちょい待ち! いる! この階にいるで~。どーゆうわけか急に反応デカくなりやがった!」
とボーグが叫んだ。
「マジ!?」
「マジマジ!」
「このまま降りて逃げれないかしら……」
「さっき言ったやろが。マシーンは一旦テリトリーに入ったが最後、壊すか壊されるまで追ってくるってよ~」
「わかってるわよお……。言ってみただけよ」
マシエリが階段から離れて、トランクを引きずりながら廊下沿いに進み、ボーグがそのあとをパタパタとついていく。
(TO BE CONTINUED)