装甲少女マシエリ(完結)

運命とたたかう美少女マシエリと相棒ボーグの物語!

2013年11月

エピソード9 「いる!」

9階の階段付近でマシエリが「この階?」と聞く。


「いねー。次!」


 ボーグが吐き捨て、マシエリたちは階段を降りる。


 8階の階段付近でマシエリがふたたび「この階は?」と聞く。


「いねー。次ィ~!」


 ボーグが吐き捨て、マシエリたちはまた階段を降りる。


 7階の階段付近でマシエリが三度「この階は~?」と聞く。


「いねー。次次ィ~!」


 ボーグがまた同じように吐き捨てる。


「ねえ、ボーグゥ、ふざけてなぁい? ほんとにこのビルにいるのお?」


 マシエリがジーッと疑いの目を向ける。


 端正な顔がちょいブサになっている。


「んな顔すんなっつ~の。知らね~よ。“広範囲感知”したのは、おめえの時計のほうやろが~」


「まったくう、無責任なんだからあ~」


 マシエリがため息をつくと、


「おめえ、おいらの話、まったく聞いてへんやろ?


とボーグが額に青スジを浮かべる。


マシエリが階段を6階に降りようとすると、


ちょい待ち! いる! この階にいるで~。どーゆうわけか急に反応デカくなりやがった!」


 とボーグが叫んだ。


「マジ!?」


「マジマジ!」


「このまま降りて逃げれないかしら……」


「さっき言ったやろが。マシーンは一旦テリトリーに入ったが最後、壊すか壊されるまで追ってくるってよ~」


「わかってるわよお……。言ってみただけよ」


 マシエリが階段から離れて、トランクを引きずりながら廊下沿いに進み、ボーグがそのあとをパタパタとついていく。


                (TO BE CONTINUED)

エピソード8 止められたエレベーター

屋上端のエレベーター前で、マシエリは下降ボタンカチカチカチと何度も押すが、ランプは消えていて、うんともすんともいわない。


反応ナシ……。電源切られたようね」


マシエリが青ざめると、


「ま、この状況下でエレベーター使って降りるアホはいねーわな。ケケ


とボーグが笑う。


「わかってるわよお。状況確認しただけじゃないのお」


マシエリは頬を赤らめ、エレベーター脇の階段から10階に降りていく。


ボーグがパタパタと飛びながらマシエリの右後ろをついていく。


10階の廊下で、マシエリが


「どう?」


と聞くと、


ウ~ム。この階は反応ねーな~」


とボーグが答える。


「ビル全体を“一括感知”できないの?」


「おめえな~、“機体感知”っつうのは、めちゃデリケートな作業なんやで~。おいらのは、おめえのそのでっけえ時計みてえな大雑把な感知じゃねーんだ。おまけに、生物と機械の中間みてえなやつがごろごろいるこのご時世、“平面感知”半径30メートルってのは、めっちゃ優秀なスペックなんやで~」


「はいはい。ちょっと聞いただけじゃないのお。あんた、シュートメみたいよ」


「シュッ。なんやと~!


9階に降りるマシエリの右後ろを、ボーグが口をとがらせながらパタパタとついていく。


                (TO BE CONTINUED)

エピソード7 データはおまかせ

「こんな優秀なボッツ、他におらんで~。感謝しな


 ボーグが胸を張ると、プリントアウトが終了するかしないかのうちに、マシエリは紙をビッと乱暴に破りとった。


「ブボッ!」


バランスを崩して、ボーグが叫んでいるのもお構いなしに、マシエリは敵のデータに見入った。


プログラム汚染型……。今までにないタイプだわ。注意が必要ね」


「おめえなぁ~、そんなガサツだと嫁のもらい手、一生見つからんで~」


 マシエリは大型トランクに付けてある黒い傘を閉じると、背中の鞘に刀のように収めた。


「あ~、ユーウツ。逃げたいわ……」


 マシエリがトランクの蓋を閉じて、取っ手に結わりつけてあるヒモを掴んで、ズズズズ…と引きずりながら歩きだすと、


「テリトリー内に入ったが最後、壊すか壊されるまで追ってくるで~。あきらめな~。ケケケ


とボーグが楽しげに笑った。


ピンクのチークを塗ってある丸みを帯びたほっぺを膨らまして、マシエリが紙をポイッと捨てると、


「あっ、おいらのデータ~~!」


 とボーグが額に人工血管の青スジを浮かべて、短い手足をバタつかせた。


                (TO BE CONTINUED)

エピソード6 テリトリーにようこそ

 マシエリが時計を見つめながら勢いよく立ちあがると、体重で押さえられていたピンクのレジャーシートぶわっと巻きあがって、ボーグの顔にぶつかった。


ふぎゃっ! 急に立ちあがんな、アホっ!


 ボーグが叫ぶなか、レジャーシートはマシエリの黒の旅行カバンをひっくり返して、風に舞ってビルのあいだをバッサバッサと飛んでいった。



 ここは、かつて企業テナント、ホテル、文化施設、住居、商業施設として使われていた10階建ての廃ビルの屋上庭園


強いビル風が吹き抜けている


 なぜそんな場所でのんびりピクニックしていたかというと、この高度ならマシーンに感知されないと思っていたからだ。


 それをどういったわけか、感知されてしまった


「マシーンの“テリトリー”内に入ったわ……」


マシエリが、水分に塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛の混ざった人工汗を、こめかみの人工汗腺から垂らすと、


「そう、ビビるなっつ~の。いまデータ出したるさかい」


とボーグは、胸に付いたプリンターから、


ジジジジジジジ……、


レシートのような紙をプリントアウトしはじめた。   


             (TO BE CONTINUED)

エピソード5 マシーン襲来

マシエリがゴテゴテしたアップルパイにさらにフォークを立てて、幸せそうな顔でその切れ端を、あ~んと口に運んだところで、左手首の時計が、


ディロンディロン♪ ディロンディロン♪


大きな音を立てた。


「マシーン接近。周囲に警戒してください」


時計が機械音声の冷静な声で警告する。


男物のように巨大でイカつい作りをしたこの時計は、レーダーの役割を果たしていて、“マシーン”と呼ばれるコンピュータウィルスに侵されたドールを感知する役割を担っている。


 マシーンウィルスによって、ドールの頭の中にある脳を食らうよう命令されていて、命賭けでドールを破壊し、脳を取り出そうとしてくる。


 時計の警告音を聞くと、人工静脈の収縮によりマシエリの顔色は蒼白になり、超高級ラバー製の皮膚に植え込まれた金の産毛にゾワッと鳥肌が立った。


                (TO BE CONTINUED)

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