マシエリが時計を見つめながら勢いよく立ちあがると、体重で押さえられていたピンクのレジャーシートぶわっと巻きあがって、ボーグの顔にぶつかった。


ふぎゃっ! 急に立ちあがんな、アホっ!


 ボーグが叫ぶなか、レジャーシートはマシエリの黒の旅行カバンをひっくり返して、風に舞ってビルのあいだをバッサバッサと飛んでいった。



 ここは、かつて企業テナント、ホテル、文化施設、住居、商業施設として使われていた10階建ての廃ビルの屋上庭園


強いビル風が吹き抜けている


 なぜそんな場所でのんびりピクニックしていたかというと、この高度ならマシーンに感知されないと思っていたからだ。


 それをどういったわけか、感知されてしまった


「マシーンの“テリトリー”内に入ったわ……」


マシエリが、水分に塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛の混ざった人工汗を、こめかみの人工汗腺から垂らすと、


「そう、ビビるなっつ~の。いまデータ出したるさかい」


とボーグは、胸に付いたプリンターから、


ジジジジジジジ……、


レシートのような紙をプリントアウトしはじめた。   


             (TO BE CONTINUED)