「こんな優秀なボッツ、他におらんで~。感謝しな


 ボーグが胸を張ると、プリントアウトが終了するかしないかのうちに、マシエリは紙をビッと乱暴に破りとった。


「ブボッ!」


バランスを崩して、ボーグが叫んでいるのもお構いなしに、マシエリは敵のデータに見入った。


プログラム汚染型……。今までにないタイプだわ。注意が必要ね」


「おめえなぁ~、そんなガサツだと嫁のもらい手、一生見つからんで~」


 マシエリは大型トランクに付けてある黒い傘を閉じると、背中の鞘に刀のように収めた。


「あ~、ユーウツ。逃げたいわ……」


 マシエリがトランクの蓋を閉じて、取っ手に結わりつけてあるヒモを掴んで、ズズズズ…と引きずりながら歩きだすと、


「テリトリー内に入ったが最後、壊すか壊されるまで追ってくるで~。あきらめな~。ケケケ


とボーグが楽しげに笑った。


ピンクのチークを塗ってある丸みを帯びたほっぺを膨らまして、マシエリが紙をポイッと捨てると、


「あっ、おいらのデータ~~!」


 とボーグが額に人工血管の青スジを浮かべて、短い手足をバタつかせた。


                (TO BE CONTINUED)