マシエリは7階の廊下を歩いていくと、とある部屋の前で立ちどまった。
「ここぉ?」
マシエリが聞くと、「いねーな~」とボーグが短い首を横に振った。
マシエリが隣の部屋に向かい、ドア前で「ここぉ?」と聞く。
「いねー」
さらに隣の部屋に向かって、「ここ~?」と聞くが、「いや、いねー」とボーグが答える。
「ほんとにいるのお?」
マシエリが呆れると、
「おっかしーな~。さっきはデカい反応あったんやがな~」
とボーグが首をかしげたのち、
「あっ! そっちぃ~!」
と大声をあげ、マシエリの背後をバタバタと慌ただしく指さした。
マシエリがふり返ると、テラスに通じる観音開きのドアがあった。
ドアには、すりガラスがはめ込まれていて、空を巨大な影が横切り、一瞬廊下が真っ暗になった。
「ちょっとお……」
マシエリが怯えると、
「乙女は度胸、だろ? GO!」
とボーグがドアを指さし、マシエリはおっかなびっくり取っ手を引いた。
(TO BE CONTINUED)